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仙台高等裁判所 昭和25年(う)243号 判決 1950年6月03日

被告人

見塚利通

外一名

主文

被告人見塚利通の控訴は之を棄却する。

原判決中、被告人神勝貢に対する有罪の部分を破棄する。

被告人神勝貢を懲役四年に処する。

原審に於て弁護人小田原親弘に生じた訴訴費用は被告人神勝貢の負担とする。

理由

記録を査閲するに、原判決は被告人神勝貢の判示第二、第六(1)乃至(2)(3)の所爲を盜犯等の防止及処分に関する法律第三條、第二條刑法第二百三十五條、第六十條に該當すると認め、前科がある爲、刑法第五十六條、第五十七條、第十四條に基いて累犯の罪量を施し右四箇の犯罪を刑法第四十五條前設の併合罪の関係に立つものとして同法第四十七條本文、第十條、第十四條を適用した上、犯情の重い判示第二の罪の刑に併合罪の加重をした刑期範圍内に於て被告人を量刑処断したこと、原判決記載の通りであつて、右所爲を盜犯等の防止及処分に関する法律第二條、第二條刑法第二百三十五條に該るとし、之に右の如く累犯の加重をした点は正当であるけれども、右法律第三條の罪は常習として同條断定行爲を爲すことに依り成立する常習犯即集合的一罪と爲すべきであるから右の樣に此犯罪を構成する行爲が數箇あつても苟くもそれが一つの常習犯の曝露と見られる以上、此數箇の行爲は集合的一罪を構成するのであつて、數罪たる併合罪を構成するものではないと謂わなければならない。隨つて此數箇の所爲に刑法第四十五條第四十七條を適用すべきでないのに拘らず、原判決は適用しているから原判決は擬律錯誤を犯したのであり、此錯誤は判決に影響を及ぼすこと明なる故、原判決は此意味に於て破棄を免れない。

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